(2022.10.24)
カタカナ語のハートフルは「心からの、心温まる」などの意味でよく使われてますね。
でも、Webrio によると、ハートフル heartful は和製英語なんですって。
Webrioにそう出ているなら、英語としてheartful という単語が無いのかと思うじゃないですか。
ところが、無いこともないみたいなのです。
One look dictionary search という複数の英英辞典が引けるサイトでheartful を引くと、ごく限られた辞書には載っているようです。
例えば、Merriam-Websterでは heartful の定義が出ていました。
Definition of heartful:full of heartfelt emotion
「heartful の定義:心からの感情に満ちた」
でも、他の多数の有名な辞書、Oxford や Cambridgeなどには heartful は出ていないようなのです。
なので、heartful という英単語は有るには有る。でも、有名な辞書でも出てるものが少ない・・・・。
ということは、実際あまり使われない単語と考えられます。
(Weblioが和製英語というぐらいですから)
実は、ハートフルとカタカナで書けるような英単語が他にもあります。
その hurtful は『(肉体的・精神的に)苦痛を与える、有害で』の意味です。
日本語のハートフルとは全く違って、むしろ逆の意味に近い単語ですね。
hurtful の方は主な英英辞典にはみんな出てますから、よく使われる単語なんです。
これは使う立場としてみると
hurtful『苦痛を与える』に聞き間違えられる可能性があるとしたら、『心からの』の意味でheartful を使うのリスキーですよね。
(heart 『心』は発音記号でhɑrt で、 hurt 『けがさせる』が hə́ːrtですから、発音は違いますけど。)
なので、
日本語のハートフル『心からの、心温まる』に相当する英語としては、heartfelt や heartwarming を使う方が望ましいと思われます。
heartful には悪いけれど、使わない方が無難と言っておきましょう。
でもまあ、書くのなら誤解はされにくいので、ここではあえてheartful とhurtfulを合わせて使ってみましょう。
He said heartful words, but she took them as hurtful.
「彼は心のこもった言葉を発したが、彼女はそれを傷つける言葉として受け止めた。」
ちなみにこの文も
He said heartfelt words, but she took them as hurtful.
の方が普通かもしれません。
最後に、ハートフルという言葉を使った耳あたりのいいキャッチフレーズがありますが、内容を理解せずに信用するのはやめときましょう。
へたに信じて痛い目を見てから、ハートフルがhurtfulのことだったと分かるかもしれませんし。