(2022.3.12)
日本映画の英語タイトルは誰が決めるのか分かりませんが、 元の日本語から想像しにくいものも有ります。
ジブリの映画でも 「千と千尋の神隠し」の英語タイトルは Spirited Away です。
spirit は名詞では『心、霊魂、神霊』ですが、動詞の用法も有って、 副詞のaway を伴ったspirit away は『(こっそり、神秘的に)さらう、奪い去る』の意味になります。 なので、spirited away は「神隠しされて」的なことですね。
Don’t eat a lot, Dad.
それはいいとして、何で「千と千尋」を題から外しちゃったんでしょうか? (日本語だと、千と千尋を外して「神隠し」という題にしたら、チープなホラー映画みたいですけど。)
Sen and Chihiro spirited away なら、 「神隠しされた千と千尋」ということで、元の題には近いと思うんですが、 これで、何がいけないのか想像すると ・単純に少し長い。 ・頭に日本語の人名が二つも入っていたら、英語圏の人には覚えにくい。 ・なんか二人が神隠しされたみたいで分かりにくい。 など、いろいろあります。
日本語のタイトル以外の事前情報なくこの映画を見ると、途中で千尋が千になって同一人物であることが分かるわけです。タイトルで提示された小さな謎が解ける面白みが有ります。 これは漢字を見るから千尋の略称が千になるのが自然に納得できるのであって、音で Sen と Chihiro と表したのではここは伝わらないと思います。なので、ローマ字でタイトルに入れるほどのおいしさが無いのかもしれません。
ただ、千と千尋の神隠しは「名前が非常に大切な意味を持つ」ということで成り立っているような物語なので、そのタイトルから名前が消えてしまうのはちょっと皮肉な感じです。
今日の結論は、こんなところにしときます。 ’Sen and Chihiro’ was spirited away from the title of the movie. その映画のタイトルから千と千尋が神隠しされた。