(2022.3.9)
『痛しかゆし』という日本語自体、説明が必要かもしれませんが、
これは「(皮膚病などで)かけば痛いし、かかなければかゆい」ことから来ていて、
「二つの方法のどちらをとっても具合が悪い、あるいは、具合のよい面もあれば悪い面もあって、どうしたらよいか困る」というような意味です。
この『痛しかゆし』って非常に日本的な表現のような気がしますが、それでもWeblioで調べると英語の訳語がいくつか出ていました。
その中の一つは mixed blessing という表現です。
逆にmixed blessing を調べると『ありがたいようなありがたくないようなこと』との意味が載っています。
blessing は『恩恵、幸運、ありがたいもの』の意味ですが、
前にmixed 『いろいろなものが混じった』がつくので、ありがたくないものも混じって『痛しかゆし』の意味になるのかしら。
別の訳語としては、choice of two evils というのがあり、直訳なら「二つの悪いことの選択」というような感じでしょうが、これは辞書を逆引きしても『痛しかゆし』と出ていました。
他にdelicate situation という訳語も出ていましたが、「微妙な状況」的な意味ですね。
ちょっとぼんやりしていますが、無難な訳語かもしれません。
作文してみました。
It would be nice to receive chocolate, but you have to give something back, right?
It’s a mixed blessing, isn’t it?
「チョコもらうのはいいだろうけど、何かお返ししなきゃいけないんでしょ?
痛しかゆしじゃない?」
If we raise the price, it won’t sell, and if we don’t raise the price, it won’t be profitable even if it does sell. It’s a choice of two evils.
「値段を上げれば売れないし、上げなければ売れても採算取れない。痛しかゆしだ。」
うーん、痛しかゆしを日本語として使いこなすのが、まず難しい気がします。